6月10日
あの人はどうやこうやと思うより足らざる処悟りましませ
蟻の穴の様な小さい所から堤防も崩れて来る様に、又一本の憐寸(まっち)から大火になる様に、些細なことから大きくなることを注意せねばなりません。一億の金も拾円から積み上げるのであります。拾円という数は少ないが、拾円足らないでも一億円にはなりません。徳を積み重ね、徳を及ぼすことも、小さい所から実行して大きくせねばなりません。一時に大きく積もうとする心は我執貪欲だと思います。初めから大きく積んで大きくなった所で、土台が崩れてしまえば元も子もありません。あの人はどうだこうだと批判をして人の行いに怒りを持ち、不平不満を持っている様な人は、自分の行いの小さな所に気付かず、実行も出来ない人であります。実行の出来ない人程、修養実践の必要があるのであります。