2月25日
艱難(かんなん)や苦行の道がありしとも徳積む為に励みましませ
草木が風に吹かれ雨に打たれながらも素直に成長して居りますことを思えば、人生にもあらゆる苦難が身にかかって参りますが、苦しみのあることを不幸と思ったり、言ったりは出来ません。苦しみによって自分の足らない所を反省し改めていくことが出来るので、苦しいということはどれ程身の為になるか分りません。鉄も宝石も磨かねば光は出ません。一本の木も山に聳(そび)えているだけでは何にもならず、人の生活に役立せるには、鋸で切り、鉋(かんな)や鑿(のみ)で削り、刻まれてお役に立つのであります。魂を磨き、人格を完成させることは、長い年月日を要し、艱難辛苦(かんなんしんく)の道中を乗越していかなければ、万人のお役に立つ様になれません。之(これ)は徳を積み及ぼすことでありますが、難行苦行でありますから、途中で斃(たお)れ、他人の雑音に迷わされ、完成する所迄はなかなか困難であります。