2月16日
借り物を常に忘れず尊べばいづれの日にも不自由なかりき
人の生命の尊さは汲めども尽きぬ宝であることを信じなければなりません。それなのにただ生きることのみを熱心に思い、物や名誉を得ることのみに努力している人が多い。生命の尊さを深く思えば、生命を維持していく為の物であることがわかる筈(はず)であります。先ず生命の尊さを知るには、肉体は借り物と思わねばなりません。物を拝借して破損すれば新らしくして返済するのが当然でありまして、その位は誰も知っている筈(はず)であります。肉体が不自由になってから、動揺顛倒(どうようてんとう)して迷う人が多い。健康である間に大切に取り扱い、借り物を自覚して破損しない様に使わして戴き、拝借している肉体の凡(すべ)ての器官に尚一層感謝がなければなりません。手足が動くのも、目が見えるのも、耳の聞こえるのも、当り前と思って居るから不自由になるのであります。