今月の言葉

2018年9月

損も得もない、右のものが左に移っただけ

損をして喜ぶ人は少ない。しまったと思う。取り返しのつかないことをしたと悔やむ。わずか100円の損でも不愉快な思い出の種にしている。
損をするのは、わが身の不徳のゆえに、今まで拝借していたものを人様にお預けするようなものである。広い視野に立って考えると、損も得もない。神のふところからいえば、右にあったものが左に移っただけであって、そこには損得はない。ものの存在は常に一つである。
いつまでも長く拝借できるような徳を積むには、よろずの物に、よろずの人に、「あんなもの」「あんな人」という軽蔑の気持ちを持ってはならぬ。どこまでも尊敬し奉って徳が積める。

(出居清太郎著『捧誠読本』4)