今月の言葉

2021年6月

心を通わせれば、草木とも石ころとも語り合える

「万物是誠」と提唱する私は、「人は万物と一体である」という自覚に立っています。万物と対立しているのではないのであります。道の辺の名も知らぬ草にも、小さい石ころ一つにも、人の真心を通わせていけば、人は万物と一体になっていけるのであります。
しかし今日の世の姿は、万物と一体どころか人と人とが対立しています。あいつが、こいつが、あのやろうがと、軽蔑し否定し合っているのではないでしょうか。この対立―それが争いの種になっていくのであります。

心を通わせば、一木一草にも、波の音にも、冷たい固い石にも、遠い歴史のささやきがあり、おのずからそのすべてと一つになりあって、語り合えるのであります。

自然がやさしく美しいのは、そこに不平不満がないからでしょう。しかし、その自然に接する人の心に不平不満の「不」があれば、この自然と、また万物と一体融和の境地に入れないのは当然であります。尊敬愛するどころか無関心な対立になっていくのであります。

(出居清太郎著『太極のひびき』)