2025年2月
我執が悪性の熱を生む
肉体の体温は36度5分で、 1年365日と同じ数でありますのは、人は体温―大恩によって生かされているからであります。ところが悪性の熱が体中に発生すると肉体を滅ぼし、 家であるなら火事になって灰となります。肉体におきましては、肺に悪性の熱が生じますと肺炎で呼吸困難に陥るのであります。
熱―温は尊い存在でありますが、これが悪い方に回転すると恐ろしいことになります。 人の心も悪い方に動けば戦争が始まる。その元は人の心一つであります。心が勝手なことを思って、思うようにならないと腹を立てる、心が燃え上がる。これが悪性の高熱になって肉体を滅ぼす。そうして体温がなくなってしまうのであります。
つまり欲望―我執を持って、思うままにしようと思ったのが思うようにならないと心を燃やす。これが悪性の高熱であります。また万事を感情(勘定)で決めようとする、これが我執の姿であって、ここに争い、摩擦が起こってまいります。
高熱は心と心とのもつれ、我執と我執、貪欲と貪欲の争い、その摩擦から生じます。 こういう熱が悪性の熱であります。肺炎、腸チブス、疫痢などにかかりますと高熱で内臓器官が焼けてしまいます。
感謝の熱、ありがとうという熱が尊いのであります。こういう熱を持っていかれるように心がけてください。
(出居清太郎著『誠書』第1巻より)