会員の思いと行い

合わない上司が続くという環境で何を学んだか

私は会社で非常に厳しい上司、Aさんと巡り合いました。私のやることなすことすべてを否定し、認められることはありませんでした。
最初は何でこんな理不尽な環境をいただくことになったんだろうと思いました。しかし、結果的に今思うと、このAさんは前の会社での評価が悪く、会社をかわる形で来たので、とりあえず私に対応させていれば何とかなるという意図も少しあったのかとも思います。自分の今までの経験や学んだことを総動員して、いただいている環境を見て、いのちの親のみ心はどこにあるのだろうと暗中模索をしていきました。

そんな頃、長女への接し方というのは気をつけていたのですが、その反動といいますか、次女、三女に対しての言葉使いや接し方は、親のエゴ、その時の感情で接していたと思います。ある時、小学生だった三女から「私は傷ついているんだよ」と言われて、いつもこんな感じの自己主張ですのでスルーしていたのですが、ある時、あっ、これかと思う瞬間がありました。それから厳しい言葉をAさんからいただいた時に振り返ると、娘への接し方に思い当たるところがあって、娘に対する自分の言語動作に気をつけるようにしました。そうすることでAさんからいろいろ言われることが減ったように思います。しかし業務上のことでは事細かに指摘を受けます。これはAさんが異動するまで2年間ずっと続きました。

次女、三女に対する接し方に気をつけている中で、娘三人は子供ということで、親の理不尽な言葉や行動で嫌な思いをしていたんだろうと反省しました。完璧な親はいないと思いますが、今その蒔いてきた種をAさんからの厳しい言葉で刈り取らせていただいているんじゃないかと思えるようになってきました。
また、教えの先輩から、この環境はご恩返しさせていただいているんだと思えるアドバイスをいただいて、少し俯瞰して環境を見ることができるようになりました。

私は30年間の会社勤めで、上司と呼ばれる方でこの人は…と、尊敬に値するという方に巡りあえることが非常に少なく、不満を持つことが圧倒的に多かったのです。自分の中に上司たる者こうあるべしという尺度があって、相手がそれに反する行動を取るとむくむくと反発心が起きてくるのです。このことでもずい分と種を蒔いていると思います。
子育てと今までの会社人生で私はたくさんの不徳の種を蒔いてきたと思います。もしAさんのような上司に出会うことなく、順調な環境の中でそのまま通っていれば、もしかすると会社人生では成功するような環境が巡ってきたのかもしれませんが、きっと子供の中にいっぱい種を蒔いて、子や孫の世代に私の不徳の種を持ち越してしまうことになっていたと思います。そうならないために今の環境で刈り取らせていただけている、持ち越さないために今の環境をいただいているのかも…と思えるようになりました。

先に言ったように、この環境はAさんが異動するまで2年間続きました。Aさんにはやはり問題があったんだと思います。別の会社に移ることとなりました。これでこの環境は卒業かと思ったのですが、Aさんの異動と共に私にも異動辞令が出ました。これが昨年の4月1日のことです。
今まで営業でやってきたのですが、サービスの方へ横滑りで異動となりました。この異動にはちょっと納得がいかなかったのです。それはAさんのもとで2年間、いろいろ言われてきたのですが、2年目は営業成績も上がって、我々の部署は会社で唯一計画達成の成果を出した部署になったからです。昇進の異動ならまだしも、横滑りの意味が分からないわけです。
移動する部署の上司はBさんでした。Bさんは以前一緒に仕事をやったことのある方でした。難しさではAさんと双璧で、何人もの部下が辞めたり、出勤できなくなったりを目の当たりにしていました。さらに先の2年間で、お客様のクレーム対応の相違で私との関係もあまりよいと言えない間柄になっていました。一難去ったかと思ったらもっと大きな壁がきた感じです。

何とか2年間綱渡りでやってきたのですが、これからの苦労が目に見えていましたので、まだ卒業できないのかと暗澹(あんたん)たる気持ちになりました。
しかし、最初からそんなことを言っても仕方ありません。初心に戻って新しい仕事に取り組もうという気持ちで接することにしました。しかし何というか、まったく取り付く島がないというか、こちらの話をまったく受け付けません。直接何かを言われるわけではないのですが、何かがおかしいといった感じです。この上司は自分に従順な態度をとる人間とだけ話をするタイプだったようです。
今回もAさんの時のように学んできたこと、経験してきたことを総動員して、環境を見て改善していこうと取り組みました。会社と家庭と、それぞれの環境をよく見て、気がついたところがあれば行動を修正したり、言葉遣いに気をつけたりしましたが、どうにもうまくいきません。手ごたえがないというか八方塞(ふさ)がりです。

そんな中、昨年5月に1カ月間、仕事でO市に行くことになりました。1カ月の長丁場なので会える人に声を掛けて交流するようにしました。その時、母親のように慕っている方と久しぶりに一緒に食事をし、今年に入ってからのことを話しました。その時にいただいた言葉は、「あんたは教えにとらわれている、二世三世会員にありがちな、教えの頭でっかちになって、教えに縛られている」というものでした。
「不平不満を持ったらいけない、あれをしたらいけない、これをしたらいけない、こうあるべき、不足を持ったらこうなる、書物で読んだことが頭にしっかり入っているのよ、不平不満は持つなと言っても持ってしまうんだから持ってもいいのよ」と。
自分が、環境から学び、よくしようとしていることが教えに縛られているとはまったく思っていなかったので、分かったような分からないような、そんな感じでしたが言われていることは分かりました。自分の心を育てるように物事を見ていかないといけないとアドバイスをいただきました。

その後、別の教えの先輩から、自分の目線ではなく、もっと大きな広い目線から見て、どんな役割を期待されているか考えてみたらとアドバイスをいただきました。
それは会社という目線だけでなく、社会や時代の流れから見て、という意味で言ってくれたと思うのですが、その時は自分を納得させるように、いいように考えたりしてみますが、納得いかない心情が勝っているので悔しい思いが出てきて、そんな思いをしてはいけないと、自分の気持ちに蓋(ふた)をするというように堂々巡りをしていたように思います。
その後、Bさんとは話をする機会を設けてもらい、関係性は少し改善されましたが、環境が改善されたということではありませんでした。

この2人の上司は、私にとっては敵(かたき)のような方たちでしたが、教えの書物の中で、「敵になってくる人も、前の世では恩人であったかもしれません。その恩人にご恩返しができてないから、その恩人に敵がい心持ってきたから、この世でその人が生まれ替わって敵になって私に向かってくる」というお言葉に出会い、これまでの私の思考回路と照らし合わせてもきっとその通りだろうと思いました。積み残しを少しでも解消できるチャンスをいただいたという意味ではやはり恩人だったのだと思います。

そして今年の1月になって、環境が大きく転回することになりました。1月16日付けの異動の内示をいただいたのです。移動先は親会社です。部署は東京オリンピック、パラリンピック推進室でした。それは2月1日付で東京オリンピック、パラリンピック競技大会組織委員会に出向するための人事でした。まったく予想もしてなかった人事異動だったのでびっくりしました。まさか自分が生きている中でオリンピックと縁ある仕事をするなんて想像したこともありませんでした。
従来の会社の人事異動の流れから言えば、私が親会社に戻る今回の異動は考えられない人事でした。ただこの人事異動につながる環境はきちんといのちの親が用意してくれていたという実感があります。

実は昨年4月、営業を離れてから後のことなのですが、私たちの部署が担当していたお客様から、担当が変わって対応が悪くなったということをきっかけに、補償問題が起きたり、別のお客様からは大幅な取引縮小を申し入れられたりということが立て続けに起こっていたのです。営業から私を外した手前、それらの処理に私を当たらせることができず、私は関わることはありませんでした。

これについては私と仲のよい同僚も、この1年はあなたにとって不本意だったと思うけれど、もし営業に残っていたら、これらの対応にはまってしまって、今回のオリンピック組織委員会への出向候補にあなたが出てくることはなかったと思うよと言ってくれて、その通りだと思いました。
私にとって不本意だと思った環境も、いのちの親の計らいだったわけです。
オリンピックは時限プロジェクトですので、2020年の10月以降には出向元の親会社に戻り、それからは新しい環境につながっていくことになります。
これからも、環境にはそっていけるように、いただいた環境を糧にして、自分の人格を成長させていけるような受けとり方を学んでいきたいと思います。

(N男 会員の手記をもとに編集したものです。)