会員の声

盗んだ人にお詫び

私が勤めていた頃でだいぶ古いお話ですけれども、定年退職も近づいた、ちょうど今のように年末も近い頃でした。閉店間際の、お客様もほとんどいらっしゃらない時間帯で、ちょっと気が緩んでおりました。
その時に急に事務所の方から電話がきまして、急用だったものですから、私は宝石のウィンドウの鍵をかけないで、すっとその場所を離れてしまいました。そうしまして戻りますと、飾ってあったダイヤモンドが一つなくなっているんですね。ドキッといたしました。「忙しいという字は、心が亡くなると書く」と聞かせて頂いているのですけれど、自分の不注意ですね。心に隙(すき)があるんですね。ああ申し訳ないことをしてしまったと反省いたしました。
相当高額のダイヤでしたので、すぐに社長に連絡して、警察にも連絡して、ウィンドウの指紋を取っていただいたり、売り場の社員の聞き取りがあったりといろいろ皆様にご迷惑をかけてしまった次第でした。

そして私は夜に自宅に帰りまして、ご神前でいのちの親様にお詫びし、本当にこれからは定年まで無事に過ごさせていただかなければならないと思いまして、反省とお詫びと、また赦(ゆる)されて今日も寝床に入らせていただける感謝を申し上げた時に、ひょっと気がついたことがありました。それは盗んだ方のことです。
私が鍵をかけなかったために盗まれたわけですけれど、その盗んだ方は今どんな気持ちでいらっしゃることかしら…。その方に申し訳ないことをしてしまったなあと思いまして、名前も顔も分からないその盗んだ方に心の底からお詫びを申し上げました。「私の不注意で申し訳ありませんでした」というお詫びを申し上げて、それで1日の心の整理を終わったわけですから、枕を高くして休ませていただきました。

翌朝起きまして、新聞を取りに行きましたら、新聞受けから何かビニールに包まれたものがポトッとっと落ちたんですね。見ると盗まれたダイヤモンドでした。あまりのことにビックリしまして、警察に連絡しましたら、警察の方もびっくりされていましたけれど、とにかく事件が終わりましたので有り難いことでした。
「合わせ鏡」「至誠は天に通じる」と教祖様から教えていただいております。「目には見えないけれど、心というものの働きは大きいものがある」ということを私に体験させて下さったような気がいたしました。本当に尊い体験でした。

(K 女)